3卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。晴れてこの日を迎えられたこと、教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。今年度も未だ収束が見られない新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、何より皆さんの健康と安全のために卒業式を学科別の分散・オンライン型にて執り行うこととせざるを得ませんでした。形は変わりますが様々な場所で見守ってくださっている方々とともに、皆さんのご卒業をお祝いしたいと思います。さて、皆さんは本校の校訓「自主」「協調」「創造」のもと、学内での実践的な授業や演習、産学連携による臨地実習等に積極的に取り組み、専門的かつ職業実践的な知識・技能・学力を身に付け、様々な資格も取得されました。卒業研究では仲間と切磋琢磨し、技量を高めるとともにコミュニケーション能力やものの見方や考え方の体得など、大きく成長することができました。これは皆さんひとり一人の努力の賜物ではありますが、これまで励まし支えてこられた方々のおかげであることも忘れてはなりません。私たちが今生きている時代は新型コロナ感染症や戦争や紛争が繰り返され、経済や社会に大きな影響をもたらしています。今この時にもそれらにより命をなくしていく方々がいます。かつて、私たちはそれらの情報を新聞やテレビニュース等で後日知る、もしくは知る機会もなかったのですが、今日のIT社会においては、インターネット上の動画やSNS等を通して、その瞬間を世界の人々と共有できてしまう、そのような時代となっています。アメリカのIT企業Googleの会長はその著書の中で、「たった1世代のうちに、手のひらに収まる端末を使って、誰もが世界中の情報にアクセスできるようになった。2025年には80億に達する世界人口のほとんどがオンラインでつながるだろう」と述べています。今後グローバル化の更なる進展によって、皆さんと社会との関係は、さらに拡大していくでしょう。しかしながら、たとえ科学技術が発展し、世界中の人とつながったとしても、人間は互いに支えあい共に生きていく存在であることを忘れてはなりません。このような時代だからこそ、人と人とを結びつける「感謝の心」を大切にしてほしいと願っています。そして、私たちの身の周りではAIやロボットが日々進化し続けています。やがて人間は仕事を奪われるとさえ言われています。私はむしろ、AIやロボットが進化すればするほど、人間は人間の強みを生かした仕事をするようになり、人間はより人間らしくなればよいと考えています。人間には、ぬくもりや優しさといった温度のある感性を働かせ、物事を判断し、新しい価値やイノベーションを生み出す力があります。人間の能力とAIが結びつく場所に新たな仕事が生まれるのではないでしょうか。皆さんには是非、それを切り拓く人であってほしいと思います。今後しばらく、世界の混乱は続くかと思われますが、このTISTを巣立つ皆さんの前途が、健やかで幸多からんことを心から祈念し、祝辞といたします。令和4年3月11日TIST卒業生へ筑波研究学園専門学校 学校長 野口孝之
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