TIST133
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3 縁あって昨年七月に本学園に奉職し、一年が経過する。この間、私が携わった本学園の五箇年計画についてご説明したいと思う。 本計画は、今年度から五年間の本学園の基本計画を定めたものである。策定の趣旨は、十八歳人口が急激に減少する等、専門学校を巡る環境が大きく変化していく中で、本学園の果たすべき役割や位置づけを再確認し、本学園の今後の目指すべき方向を明確にすることにあった。また、策定に際しては、目標をどう定めるかの視座と計画を執行する教職員の合意形成に意を尽くした。 まず、学生の視点を重視するため、昨年度の全入学生に対しアンケートを行い、本学園への入学の動機を尋ねた。その結果は、資格の取得、希望する企業等への就職、本学園の指導力への期待等が上位を占めた。入学時から明確な目標を持った学生が多い。 一方、教員については、学科長を中心に幾度もヒアリングを重ね、卒業までの学生指導の目標などを議論した。主な意見をまとめると、本校の役割は、「自主、協調、創造」の校則に則った有為な人材の育成にあり、具体的には就職等を見据えた自立力・人間力の養成にあるとの結論であった。 両者の視座はほぼ同一で、しかも創設以来、変わらぬものであることも再認識できた。 しかし、社会は大きく変化している。例えば、デジタル化の進展は著しく、若者を中心にITスキルは大幅にレベルアップしており、企業や学生が求める資格や技術も大きく変化している。学校も社会の流れやニーズに的確に対応していくが必要がある。 合意形成は、前述のヒアリングを通じて本学園の教育理念等を確認し、学園全体で共有すべきビジョンや指針を計画に明記した。 以上を踏まえ、三つの基本方針を定めた。一つ目は学校のハードやソフト機能のレベルアップ、二つ目は学校の魅力発信の強化、最後に経営基盤の安定化である。 次に、この基本方針を具現化する五つの重点施策を定めた。その一部をご紹介する。まず、学習環境の向上を図ることとし、校舎・設備の修繕や更新等を進めることにした。全てのトイレのウォシュレット化や全教室でインターネットに接続できるWi-Fiの整備は五月までに完了し、今後は校舎の修繕やエアコンの更新等を順次進め、快適な学習環境を整えていく。また、学習教材も3DプリンターやBIM(最新3次元CAD)等の先端教材を計画的に導入する予定である。 二つ目に、企業交流や連携を強化することとし、これまで築き上げてきた企業とのネットワークを活用して、企業派遣講師による一般授業や、実習授業での企業訪問等を充実させ、より実践的な教育を行うこととしている。また、企業からの奨学資金貸与やインターンシップなどを通じて、魅力ある就職先の開拓も行っていく。 最後に各学科の充実に関する施策をご紹介する。各学科では創意工夫を凝らした授業を実施中であるが、計画には新たな取組みを多数盛り込んだ。例えば、建築環境学科では、BIMを今年度中に導入し、業界のデジタル化に対応しながら「つくる楽しさ」を学んだり、十代での建築士合格も目指すことにしている。また、ITものつくり学科では、従来のコース名を改称し、IoTや産業ロボットに関連する知識・技術を学び、実践的なエンジニアの育成を目指す。他のコースでもクラウド活用や自動化処理、デジタル会計実務など企業が必要とするIT人材を育成することとしている。他の学科についてもご紹介したいが、詳しくは本学園のホームページなどをご覧いただきたいと思う。 以上、筑波研究学園五箇年計画の概要についてご説明したが、本学園の特長は、総合専門学校としての多彩な人材の交流にあると感じている。様々な経験や才能がシナジー効果により新たなエネルギーを生み出している。私は、茨城県庁で約四十年、その後は、首都圏新都市鉄道(TX)や茨城放送での経験がある。これらの経験を活かし、これまでとは多少違う視点で、この学園に微力ながら貢献してまいりたいと思う。筑波研究学園専門学校 五箇年計画について学校法人筑波研究学園 専務理事 松下博充

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