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4卒業特集業特集ことが許されない厳しい一面もあります。 私は、皆さんがいかなる環境いかなる境遇にあっても、よりよい明日のために勇気を持って主体的に人生に取り組んでほしい、目標を達成し成功する努力を忘れないでほしいと思っています。もしも皆さんがこれまで経験したことのない新たな問題や困難な局面に出会ったときには、もう一度自分を前向きにとらえて自身の人生の展開について考えていただきたい。 私はみなさんに、自分の頭で考えて行動する自立した社会人になっていただきたい、と思っております。実社会に出てからも主体性を失わずに生きて欲しい。自分を律することができる人間であるということです。自分の足で立って現実を直視し、自分の頭で考え自分の意志で行動することは、社会人として大切なことです。 これから日本の社会の発展を担っていく皆さんには、自分自身の運命と正面から向き合い主体性を持って生きる社会人となることを期待しています。変化し続ける実社会 一方、皆さんをその一員として受け入れようとしている日本の社会は変化し続けています。わが国の社会環境や産業構造は、少子高齢化による人口構成の変化、進行する経済・産業活動のグローバリゼーション、わが国を取巻く政治情勢の変化などによって大きな影響を受けます。しかも、そうした要因の一つひとつが互いに依存しあい影響しあって、問題を一層複雑にもしています。さまざまな要因によって少しずつ、しかし確実に変化し続けているというのが実社会なのです。 少子高齢化ひとつとっても、老人介護や待機児童、教育制度、社会保障制度の問題だけでなく、保険医療制度の改革、外国人労働者の就労、人口の都市集中と周辺部の過疎化などなど、少子高齢化と直接あるいは間接的に関連した課題が数多くあります。某政治家のように、「毎年の出生率や死亡率の推移を見ていれば、今日の労働人口の減少は何十年も前から予測できたはずだ。これまで準備してこなかったのが問題だ。」と言っていても始まりません。どれか一つだけを取り上げて実社会の変化を確実に予測し対策を考えることはほとんど不可能です。拡大するグローバリゼーション 外国人労働者の就労に関してもそうです。「外国人の就労は、少子高齢化によって生じたわが国の労働人口の減少を補い、深刻な後継者不足や人手不足に陥っている農業や建築、介護などの分野にとって有効な対策だ」と好意的に受けとめる声があります。しかし、その一方で昨年来ニュースでも取り上げられているように、制度上のさまざまな問題が指摘されています。また、就労する外国人の日本語研修や労働条件、労働環境のほかにも、宗教、外国人子女の受け入れとその教育、日本の社会への適応の問題などなど、将来の日本の社会環境にも関係がありそうな課題も抱えています。 少子高齢化が進行して労働人口が減少するわが国の発展を支えるためには、外国人労働者の受け入れは避けて通れない課題といわれ、もうすでに多くの外国人が農業や建築、食品加工などのさまざまな職業分野で働いています。しかし、これまで外国からの難民や移民の受け入れに関して、先進諸国の中で最も消極的であったわが国にとって、外国人労働者の意識的、積極的な導入は大きな転換で、今後わが国の社会環境に大きな影響を与えると思われています。 わが国は島国ですから、アメリカやヨーロッパの先進諸国のように、季節労働者や単純労働に従事する担い手が近隣の国々から大量にやって来たり、それによって治安が悪化することにはならないかもしれません。しかし、そう遠くない将来、職場で一緒に仕事をする人、顧客として接する人の多くが外国人ということが珍しいことでなくなることは確実と思っていいでしょう。わが国の経済・産業活動とそれを支える労働力のグローバリゼーションが拡大し、それによって生じる社会の変化に私たちは適応していかなくてはなりません。社会人としての成長を願う 皆さんは、これから上で述べたように変化し続ける実社会で生きていくことになります。皆さんには、わが国の社会環境や価値観が大きく変化していく社会の中で逞しく成長することが求められていると思って間違いありません。それぞれの職業分野の中で高い目標を持ち、キャリアを着実に積み重ねていくことが求められているのです。これからも学ぶことを忘れずに社会人として成長を続け、自分自身の人生に主体的に取り組んでいって欲しいと思います。 最後に、卒業生一人一人が、これからも健康に十分留意され、有意義で実り多い人生を送ることを願ってやみません。

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