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3子どもたちを取り巻く保育環境 現代の子どもたちの育ちや子育てをめぐる環境は大きな変貌をとげています。高学歴化が進行し男女とも晩婚化が進み、女性就労も一般化しています。人々の生活様式や価値観も多様化し離婚の増加も顕著です。さらに核家族化等で母親が育児に対する負担感や不安感をつのらせ、子どもがいることが負担だと感じる親も増加しています。これらは切なくも子どもたちの生活習慣の乱れや食生活の乱れに繋がり挙句、虐待へと向かってしまう現実があります。 現代の子育ては、育児と仕事を両立しようとすると種々の困難にぶつかり、また家庭で子どもを育てようとすると孤立した子育てに悩むことになり、多くの子育て支援ニーズが発せられているのです。保育の質について 〜誰のための保育なのか〜 「保育園落ちた。日本死ね。」という書き込みが物議を醸しました。また一方ではやっと見つけた保育施設で命を落としてしまう子ども‥。 子どもと親を取り巻く社会環境が変化する中、待機児童問題とともに保育士不足が取り上げられています。しかしながら大切なことは本来の保育の目的です。誰のための保育なのかを考えたとき、親のための保育サービスに徹してしまってはならないのです。子どもの視点に立ち「子どもの最善の利益」を第一に考えた保育が求められます。次代を担う子どもたちが人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付けることのできる保育を目指す保育者が求められるのです。そしてその子どもたちを育成する父母や祖父母、または地域の子育て力が高まるよう支援していきたいものです。そのためには子育て環境の質、とりわけ保育者の質が問われることになります。こども未来学科で育成する人材 こども未来学科が育成すべく人材は、子どもの成長を心で感じることのできる保育者・教育者です。幼児期は、植物に例えるなら地中に根を張る時期です。強くて太い根を張れるか、弱々しい根を張るか、また地中深く根を張れるか、すぐに抜けてしまう根になるか、それはいかに土づくりを丁寧に行うかにかかっています。咲いた花に水や養分をあげるのではなく、どんな花を咲かせるのか、そしてどんな実がなるのかを楽しみに土づくりをするのです。よくよく耕し、肥料を混ぜて‥。これこそが保育者・教育者の役割だと考えています。言い換えれば、土の作り方次第でその子は立派な花を咲かせ、実を熟すことができるのです。なんとやりがいのある仕事なのでしょう。その根の部分こそが、目に見えない部分、意欲であったり、思いやりであったりという心の育ちなのです。そして土づくりをした保育者・教育者には、地中で何が育っているのか、すなわち心の部分で何が起こっているのかを賢明に見極める力が求められるのです。育っていないのに育っているかのような錯覚をしてはなりませんし、望ましくない根が育とうとしている場合にも見逃してはなりません。その力こそが保育者・教育者の感性といえるでしょう。「感性豊かな保育者・教育者」、これこそがこども未来学科が現在、国の施策として子育て支援事業の充実が図られています。これを受け、保育の現場では保育士不足が懸念されるとともに、質の高い保育者が求められています。こども未来学科幼児保育コース・幼児スポーツコース・児童教育コースはそれぞれの特色を生かし、幼保一元化、幼保小連携を視座に置き「生きる力」を育むことのできる豊かな心をもった質の高い保育者・教育者を育成していきます。「感性豊かな保育者・教育者」を 育成するためにこども未来学科学科長 大森淳子 筑波研究学園専門学校は、昭和62年4月、産学連携の趣旨により設立され、今日までつくばの各研究機関や民間企業からご協力をいただきながら職業教育を実践してまいりました。 平成26年度より発足した文部科学省「職業実践専門課程」、平成31年スタートに向けて検討が進められている「専門職大学」に向けても、学校法人としての最重要テーマとして位置付け、推進しています。当機関誌でも「職業実践専門課程」への学校全体としての取り組みを繰り返し紹介してきましたが、114号(平成27年12月発行号)より各学科の教育現場に視点を移してレポートしています。2回目となる今回は、「こども未来学科」「医療情報学科」を紹介します。

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