TIST115
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4卒業特集業特集労働人口の減少をどうするのか、年金制度を中心とする社会保障を支える人口の減少をどう補っていくのか、外国人研修生の労働環境をどう整えるのかなど、これから解決すべきさまざまな問題があります。グローバリゼーションの進行は、人や物の移動空間を大きく拡げただけでなく、経済・産業活動の国際化によって工業製品や農産物の国内産と外国産の境界を見えにくくし、これからの日本の社会にさらに大きな変化をもたらそうとしています。 TPP(環太平洋パートナーシップ)協定を例に挙げましょう。最近のニュースでもとりあげられているように、協定による農産物や水産物の輸入と輸出の自由化は、わが国の農業や漁業に大きな影響を与えるといわれています。それだけにとどまりません。将来的には、食品や流通産業を中心とした産業構造の全体像も大きく変わっていくいくだろうと考えられています。古来、農耕民族として進化してきた日本人の考え方にも影響を与えるかもしれません。 そういった変化する社会に皆さんは踏み出していくことになります。皆さんには大きく変化する社会で逞しく成長することが求められていると思って下さい。これからも学ぶことを忘れず、社会人として成長を続け、これから始まる新しい生活に主体的に取り組んでいって欲しいと思います。5.職業実践専門課程の一期生 TISTの教育活動も前項で述べた社会の変化と無関係ではいられません。文部科学省は、近年急速に進んでいる社会環境の変化や職業の多様化に起因する人材需要に対応するため、職業教育の重要性をふまえた高等教育の必要性から、教育の新たな枠組みとして、ある一定の水準に達している専門学校を職業実践専門課程と認定して、企業や会社と連携して実践的な職業教育を行うことになりました。この新しい制度がスタートしたのがちょうど2年前、皆さんが入学したのと同じ時期です。 本校TISTでは全ての学科がこの認定を受け、制度発足と同時に、つまり皆さんが入学した時から、各学科の教育課程の編成は外部の有識者が加わって行われています。また、学生の企業実習、インターシップをさらに充実させ、多くの企業や業界団体と連携してそれを行ってきています。その意味において、皆さんは本校が新たに取り組み始めた職業実践専門課程の枠組みで職業教育を学び、そしてその課程を修了する一期生でもあります。 一方、本校TISTではそれ以前から「産学協同」の教育方針を設立の趣旨として掲げてきておりましたから、文部科学省が示した職業実践専門課程の設置理由は本校の教育活動の基本方針そのものであり、私は、皆さんがこれまでのTIST卒業生と違うとは思っておりません。ただ、皆さんが入学した時から、私ども教職員はこれまでにも増して企業や会社との連携を意識し、本校TISTの教育活動にさまざまな工夫をしてきたことはお伝えしておく必要があると思います。皆さんが、私ども教職員の教育活動を発展させる原動力であったという点において、私は皆さんにお礼を申し上げなければなりません。6.TISTの伝統 私は二年前、本校TISTに入学した皆さんに、本校の全ての学科が職業実践専門課程に認定されていることをお知らせすると共に、本校の優れた伝統を継承して欲しいとお願いしました。 本校にはメカトロニクスや医療、幼児教育、建築産業、自動車整備や行政機関など、将来さまざまな職業分野で働くことを目指すさまざまな目的を持った学生がいるから、在学中に自分と違う理想や目標を持つ多くの人々と接し、互いに刺激し合いながら成長して欲しいと皆さんにお願いしました。今日のようにインターネットが普及した社会では、簡単なことは直接向き合って話すよりもLINEやSNSでやりとりして済ませることが多くなり、互いに顔を合わせて話をして理解することの大切さが忘れられつつあると思ったからです。 そういう状況だからこそ、人と人とのコミュニケーションを大切にし、周りの人々の考えをよく聞いて、物事を自分中心ではなく客観的に理解することが大切です。私は、皆さんが広い視野で物事を考え、しっかりした自分自身の意見を持ち、実社会で逞しく生きていって欲しいと思います。7.健康で有意義な人生を願う 皆さんは本校において社会人として成長していくために必要な基礎的な能力を取得し、これから新社会人として第一歩を踏み出していくことになりました。先ほど述べたように、皆さんを迎える社会は変化に富み、そして皆さんを必要しています。私は、皆さんがこれから職場や地域社会あるいは家庭の中で起きるさまざまな事柄に対して、周囲の人々と一緒になって積極的に取り組み、社会人としての役割を果たして欲しい、成長を続けていっていただきたいと思うのです。 本校TISTを卒業する一人一人が、これからも健康で有意義な人生を送ることを願ってやみません。

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