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5自動車産業界と教育機関の 現状(若者のくるま離れ) 我が国の基幹産業である自動車産業界において、優秀な人材を教育・確保することは、国民の生命と安全を守るということに直結していきます。また、高等教育機関は、国の将来を担う夢と希望を持った若者たちに、自己実現可能な専門知識と技術、さらに生きる力を与えることに大きな責任があります。しかし、大学は入学を望めば、必ず入学できる環境になっている上に、学生の質も低下しています。短大の学生数は減少の一途です。将来の職業を前提に教育を行う専門学校の重要性がますます高まってきています。 ここ数年、自動車産業界では、整備士の人材確保において、前年対比で後退しているのが現状です。その原因は、主に社会構造、特にグローバル化における経済構造の変化に伴う「若者の価値観の変化」です。若者の車離れ、免許離れが加速しています。そこに業界としての対応が充分に出来ていませんでした。これは自動車産業界での最重要課題の一つです。従来「車が好きだ」「修理が好きだ」「手に職を」と明確な意思を持った高校生が入学してきましたが、近年はその比率は低下の一途です。「車が好き」「手に職を」という単純なキーワードだけでは、高校生からの期待に応え切れなくなっています。自動車産業界、職業としての自動車整備士についての、全く新しい切り口を作ることが必要です。本校自動車整備工学科としても、「四年制」「今までにない全く新しい自動車整備士のイメージ」の二つのキーワードを軸に高校生に対する魅力付けを模索しています。 基幹産業である自動車産業界においては、行政主導で自動車整備士の役割を鮮明にしていくことも大事なことです。整備士不足といわれているなか、昨年より産学官が情報共有することにより自動車整備人材確保・育成の施策等を効果的に実施するための「自動車整備人材確保・育成地方連絡会」が設立されました。当連絡会は「自動車整備人材確保・育成推進連絡会」の関連組織として運輸支局単位で設置され、各地方における自動車整備士の人材確保に関する情報の共有及び意見交換を目的としています。具体的な動きの一例としては、高等学校への直接訪問が行われています。校長先生や進路指導部担当教師等に対して、自動車産業界、自動車整備業の魅力をご理解いただき、マイナスイメージを払拭していくことで、ひとりでも多くの若者が自動車整備士を目指し、自動車整備の仕事に就職していく機会に繋がっていくことを期待しています。これからの自動車整備士に 求められるもの 自動車の安全・環境性能の向上に伴い、進化続ける自動車の機能や構造はハイテク化・複雑化し、特に高度なコンピュータ制御をはじめ、電子制御による新技術の利用が広まっています。これまでになかった新しい技術が次々と取り入れられているため、これらの優れた性能を維持するためには、適切な点検整備を行うことがますます重要になっ自動車整備工学科の学科棟及び実習等、最新の実習車両自動車整備工学科本学科は、平成17年4月に自動車工学科(2級自動車整備士課程)を開設し、現在は「1級整備士コース」4年課程、「2級整備士コース」2年課程、「車体整備士コース」3年課程の3コースで運営されております。一級小型自動車、二級ガソリン自動車整備士、二級ジーゼル自動車整備士、自動車車体整備士の受験資格が得られます。来年4月に「カーコンシェルジュコース」2年課程女子が加わります。これからの自動車業界のリーダーを教育するにふさわしいプロの整備士を育成しています。時代をリードする整備士を育てる学科長 伊能正登ベンチエンジンを使用しての故障診断作業自己診断機器(OBD)を使用してのエンジン診断

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