TIST113
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3特 集 集はじめに 去る4月10日、本校TISTの平成27年度入学式が挙行されて今年度の教育活動がスタートし、それから既に半年が過ぎようとしている。以下では、4月からこれまでの教育活動を振り返り、TISTが目標としているさまざまな課題への対応について述べてみたい。本校の教育活動の目標のほとんどは単年度で達成するというよりも中長期的な視野で考えて到達するべきものでもあるので、今年度の中間点におけるTISTの現状報告的なものとなることをお許しいただきたい。入学者数の動向 本校に入学する学生の定員は365名で、TIST全体では約800名の若者が情報科学系、工業技術系、医療・保育系など6学科で学んでいる。本校が28年前に入学定員180名の情報科学系の専門学校として開設されたときに比べて2倍の規模である。この間、産学協同を教育活動の主軸に据えて産業界の要請や地域社会の期待に応え、時代の変化に適応した職業教育を行うTISTの基本方針は変わっていない。 近年、少子高齢化による入学者の減少が懸念され、県内でも入学者が減少している専門学校がある中にあって、多少の増減はあるものの、この数年を見る限りTISTに入学する学生数が定員を大きく割ることはない。入学広報部を中心に全学科が入学希望者に様々な形で魅力ある学校紹介をしていること、本校が伝統としている実学重視の職業教育がさまざまな企業や会社、事業所、地域社会から高く評価されて信頼を得ていることの証でもある。 一方、入学者数を学科別にみるとこの数年間で一定の変化が見られる。そのなかで顕著なのは、工業技術系各学科への入学者数が学生定員を下回る傾向があるに対し、医療情報学科、幼児保育学科への入学者が増加していることである。原因としては高校卒業生の就職状況が工業技術系の企業を中心に最近大きく改善されたこと、社会の変化を反映して保育や医療分野の人材需要が増え、それに呼応して保育施設や医療機関で働くことを希望する若者が多くなったことなどが考えられる。 TISTに入学を希望する学生の多少は、わが国の社会の動向や時代のニーズ、教育環境の変化に対して若者が敏感に反応した結果である。その意味において、毎年の入学者数はTISTに対して社会が下した総合評価である。入学者の増減に一喜一憂して過剰に反応する必要はもちろんないが、TISTで働く教職員としては、社会の総合評価を冷静に受け止めて将来の学科設計や教育課程編成に活かす一つの指標としなければならない。社会のニーズに応える学科設計 TISTでは、それぞれの学科で直面している教育活動の課題について、日々の授業や生活指導を通じて感じていることとも照らし合わせて解決方法を見いだし、社会の要請に応える努力をしている。 ものつくり学科では、これまで以上に職業実践的な教育を行うことを目的として、今年度から3年課程を設けた。ここでは家電業界で働くサービスエンジニア的人材の養成、電気工事士の国家資格取得を目指している。また、昨年度から卒業年次の希望者を対象にした企業実習(インターシップ)をスタートさせた。今年度は、ひたちなかテクノセンターと(社)茨城研究開発型企業交流協会の協力を得て卒業年次の学生全員に拡大して行われる。インターシップがTISTと企業団体の双方にとって有効に作用することを期待したい。 建築環境学科でも希望する学生に対して企業実習を行って建設業界との連携を強めている。建築業界では、震災からの復興事業や業界内全体の世代交代によって若手技術者の人材が不足している。そのためTISTの建築環境学科の学生の就職状況は近年極めて好調であるが、長期的に続くものではない。業界における多様なニーズに応えるため、来年度から建設機械施工技士の取得を目指す建築土木技術コースを3年課程としてスタートさせ、建設現場のエ平成27年度前期を 振り返って筑波研究学園専門学校 学校長 柿崎明人

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