TIST120
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5新年度スタート特集年度スタート特集おける教育活動をさらに進化させていくつもりでおります。大きな変革期にある専門学校 一方、わが国における専門学校をとりまく状況は今大きな変革期を迎えています。1971年に発足した専門学校制度については、これまでもいくつか小さな見直しが行われてきました。いわゆる高度成長期の経済規模の拡大と産業構造や人材需要の変化を反映して、専門学校の産業界への人材供給源としての役割が大きくなるのに伴い、専門学校卒業生への専門士の称号授与や大学や大学院への入学資格付与など、制度のさまざまな改定もなされました。 とくに近年、少子高齢化によるわが国の社会構造の変化を背景に、職業教育の重要性が広く認識されるようになり、専門学校の職業教育を充実・強化するためのさまざまな提言に基づいた制度改革が進行中です。「職業実践専門課程」 その一つが2014年に発足した「職業実践専門課程」の制度です。これは、文部科学省が実践的な職業教育を行っている専門学校の学科を「職業実践専門課程」と認定し、専門学校における実践的な職業教育の水準維持・向上を目指すというものです。認定学科には、企業・業界団体等と密接に連携した演習・実験、教員研修、外部の有識者を交えた教育課程編成、学校評価の実施などが求められます。また、情報を開示して職業教育の質の保証・向上に組織的に取り組むことも必要です。 企業・会社と連携して行う職業教育は、学校法人筑波研究学園が設立の趣旨として掲げた「産学協同」そのもので、職業実践専門課程の制度はTISTとN-TACが行っている実学重視の職業教育とも合致しています。このため学校法人では、新しい制度へ積極的に対応してきました。その結果、TISTの全6学科とN-TACの航空整備学科が制度発足直後から職業実践専門課程と認定されています。教育事業、教育活動の検証 この制度への申請は、学校法人、TISTおよびN-TACにとって専門学校の管理・運営や各学科のカリキュラムなどの細部にまで入って検証する機会でもありました。授業の内容や各種検定・資格取得の状況について定期的に点検・評価を受けることは、長年の慣例に従ってマンネリ化しがちな教育活動を軌道修正してより良いものにしていく出発点になります。また教職員にとっても、教育活動の目標を再確認するきっかけにもなっています。 制度改革などの外的要因に限らず、専門学校の教育活動を定期的に見直していくことは、社会情勢や産業構造、人材需要の変化に的確に対応するためにも重要で、これからも取り組んでいきたいと思っております。新大学システムと 新学校教育法への対応 2016年12月に文部科学省は、「教育再生実行会議」の提言を受けて「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」を発足させ、実践的な職業教育を行う大学、短期大学の設置に向けた「学校教育法」の抜本的見直しに着手しました。 このような文部科学省の動きを受け、本学校法人では数年前から新たに発足する実学重視の「専門職大学」への取組みについて議論をしてきていました。また、つくば市や周辺に立地する大学、研究機関の人々の協力を得て設けられた「一般財団法人新大学システムT-NUS」において、本学校法人が創設当初に目指していた「つくば」における工業系の大学設立についても検討も進めてきました。 「つくば」における新大学システムと新学校教育法による専門職大学は、どちらも学校法人筑波研究学園とTIST、N-TACの将来に大きく影響する重要な事柄で、慎重に対応する必要があります。T-NUSでの新大学システムに関する議論を検証するとともに、本年5月24日に成立した「新学校教育法」に定められている「専門職大学」や「専門職短期大学」の設置基準や認可手順なども検討して各方面のご意見をうかがう必要があります。 新しい制度が、本当に学校法人筑波研究学園の目指している職業教育の基本方針と合致し、これからのTISTとN-TACの発展につながるものなのかを十分検討した上で、大学制度への取り組みの是非やその対応について考え、教育事業と二つの専門学校での教育活動の将来像を教職員と一緒になって描いていきたいと考えております。おわりに くり返しになりますが、学校法人筑波研究学園がこれまで築いてきた伝統と信頼を大切にし、先輩諸氏のご意見を伺いながら教職員の皆様と協力し、TISTとN-TACでの「産学協同に基づいた実学重視の職業教育」を進化させ、学校法人全体の発展に微力を尽くしていく所存でございます。これからもご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします。

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