TIST113
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4特 集 集キスパートの養成を目指した人材育成を行う予定である。 一方、医療の現場では電子カルテの導入が近年急速に進み、街の小さなクリニックでも事務処理のほとんどがオンライン化されており、医療情報分野で働く若者には新しい技術に即応できるスキルが求められている。このため医療情報学科では、昨年度から学生の実習先として電算化が進んだ医療機関を選ぶ努力を始めた。資格取得率の向上や卒業生の就職先の高度化にも結びつくと期待している。また、教育活動に専門分野の動向を適切に反映させるために、本校に日本医療秘書学会茨城支部を置きTISTを医療事務分野の拠点校とする準備も進行中である。 幼児保育学科ではこの数年、入学する学生数が増加し続けている。人間性豊かな保育士や小学校教師の養成を目指す特徴ある教育方針が社会から一定の評価をいただいているからであろう。演習室として新設した6号館での授業も昨年度から始まり、新たな設備拡充が入学者増に貢献しているかもしれない。新しい演習室で学んだ学生が実社会に出て活躍して初めて新校舎を整備した成果が得られることになる。女性の社会進出への対応 今年も、自動車整備工学科には多くの新入生が入学した。この中には2名の女子学生が含まれる。皆、将来自動車業界で働くことを目指している。新聞紙上などでは若者の自動車離れが指摘されているが、TISTに入学する学生からそれはあまり感じられない。先頃発表された国家資格の合格率は、1級自動車整備が例年に比べてふるわなかったものの、2級自動車整備士、車体整備士はいずれも100%であった。 最近、自動車業界では女性ドライバーが多い軽自動車が自家用車全体の約40%を占める現状を受けて、各メーカーともクルマの中身がわかる女子力の獲得に注力している。このため自動車整備工学科では来年度から女子学生を対象として、接客マナーも学んだ女性3級自動車整備士の育成を目指すカーコンシェルジュコースを新設し社会のニーズに応える準備をしている。学生気質の変化 最近、学校長である私にとって嬉しいことが一つあった。例年、新学期が始まって3、4ヶ月たった頃から新入生の中に長期欠席する学生が目立つようになったり、授業をキャッチアップできない学生が出てくるのだが、今年度は各学科とも例年に比べて少ない。とくに経営情報学科では、将来の職業像が描きやすい他学科にくらべて多い傾向があっただけに長期欠席者の減少は喜ばしい。今年度入学した学生はいわゆる「ゆとり教育」後に初めて高校を卒業する世代なので、学生気質の変化も関係していると考えられるが詳細はわからない。重要なことは、この事実を学生の成長に確実に結びつける努力が教職員に求められるということだ。経営情報学科では今年から地元企業の協力を得てインターシップが本格的に導入されている。教育課程の充実と学生の気質の変化が相乗効果を生み出すことを望みたい。職業実践専門課程への取り組み 既に何回もお知らせしているように、本校では全ての学科が文部科学省から職業実践専門課程として認定され、昨年度からそれに準拠して教育内容の充実を図っているがまだ十分ではない。学校全体で取り組むべき課題、各学科が工夫して解決する問題などをクリアするにはもう少し時間がかかりそうだ。 職業実践専門課程では教員の資質向上を図ることも求められている。本校では毎年8月に夏期教職員研修会を開催しているが、一昨年から職業実践専門課程への対応をテーマとして扱い、これまで、申請準備と教育活動の充実(H25)、教育活動の検証(H26)をとりあげてきた。今年度は、各学科が抱えている課題について取り上げることにしている。そういう機会を通して教員が自分自身の教育活動に問題意識を持ち、改善策を自分で考え周りの意見を聞きながら修正していく繰り返しが、教員の資質向上に繋がると期待している。 本校では今年度から国民の休日の一部を振り替えて、スケジュールの平準化を行った。先般7月20日(月)の海の日を登校日とし、その前の17日(金)を振替休日としたが、学生に混乱はなかった。授業日数の確保は教育活動の要である。この取り組みは来年度以降も続けたいと思う。新たな伝統に向けて 前号で西谷理事長が述べておられるように、文部科学省は職業実践専門課程制度を、職業教育を行う新たな高等教育機関として職業専門大学(仮称)の創設も視野に入れてスタートさせた。新しい大学に対してどんな設置基準が適用されるかまだ不明だが、政府が本気で平成29年度から新制度の発足を考えていることは確かなようだ。平成29年にTISTは創立30年を迎える。本校としては、新しい制度がTISTの新たな伝統のスタートとなるように職業専門大学に対して的確に対応していきたい。

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