TIST112隠し
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4新年度スタート特集年度スタート特集で厳しい状況に置かれている。 最近の日本は「少子高齢化社会」の到来が様々な社会変化をもたらし始めている。特に、教育機関にとっては少子化傾向は深刻で、入学者が確保できず、大学や短期大学でさえ「閉校・廃校」に到っている法人も表面化している。こうした状況の中で誕生したのが、「職業実践専門課程」という制度である。 この制度は、平成26年4月に発足しており、平成27年度は「2年目」の年に当る。この認定は、文部科学大臣によって行われると定められ、平成27年4月現在、その数は全国で「673校・2042学科」と発表されている。この数字は、全国の専門学校の約22%にあたるものである。現在、学校法人筑波研究学園のもとには、「筑波研究学園専門学校(TIST)と「成田つくば航空専門学校」(N-TAC)の2校が設置されているが、両校ともこの認定を受けている。この新たに発足した「職業実践専門課程」は、文部科学大臣の所管とされている点が、これまでとは大きく異なる点である。 TISTは、昭和62年に設立されてから、独自のカリキュラムを開発し、キメ細かい教育指導を行なってきた。さらに、「電子機械」「自動車整備工学」「建築環境」「経営情報」「医療情報」「幼児保育」という6学科を構成しているが、運用面ではそれぞれに独特の文化が育まれている。こうしたことは、極めて良いことではあるが、「客観的立場」から見た時、必ずしも「問題なし」とは言えないものがあった。今回の新制度の発足を契機に改善策を講ずることとした。 これまでのTISTは、指導監督は茨城県から受け、資格取得のためのカリキュラム面では、国土交通省や厚生労働省の認可を受けてきたが、学校の管理運営や授業展開の面で国から指導を受けるのは初めての事であった。そこで、「TIST」「N-TAC」としては、その認定基準に定められた事項を厳密に遵守するよう、平成26年度は学校運営全般の見直しを行った。さらに、平成27年度からは、各学科の細部にまで立ち入り、その徹底を図ることとしている。その結果、改善された点は、教育課程編成委員会による「カリキュラム」面での指摘であり、学校評価委員会による学校運営面での点検である。このことは、学校全体が第三者の立場にある学識経験者等からの評価を受けたことを意味し、TISTの教職員にとって大きな刺激となり自己改革の機会となったように感じられる。3. 新たな「職業重視の高等 教育機関」制定の動き 平成26年度より、「職業実践専門課程」の制度が発足したが、それは従来の専門学校制度の「見直し」的位置づけのものであった。ところが、平成26年末には、新しい「学校教育制度」の動きが出てきたのである。このことは、同時に現在の大学や短期大学の教育に対し警鐘を鳴らすものでもあった。 平成4年前後には18才人口が急増し、その対策として全国各地に様々な「大学」や「短期大学」が設立された。こうした動きは、人口減少期に入った後も衰えることなく、平成25年度末には「大学全入時代」を迎える状態となった。「大学を選ばなければ誰でもが大学に入学出来る時代」が到来したのである。 その結果、大学の質的低下を招き、産業界等からは「大学の在り方」が問われ始めた。「大学は、実社会で役立つ人材育成に配慮すべきである」といった意見である。しかし、長期にわたって形成されてきた現在の「大学(短期大学)制度」を内部の力で改革することは極めて困難とされた。そこで政府の中に設けられたのが「教育再生実行会議」であり、そこから「職業重視の高等教育機関を新たに設けるべき」との「提言」が出された。これは、平成26年8月の事であった。 これを受けて、文部科学省は平成26年12月、「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化に関する有識者会議」を発足させた。この有識者会議は、平成27年3月まで「計7回」にわたり開催され、その審議の内容は「実践的な職業教育を新たな高等教育の在り方について(審議まとめ素案)」として整理され、文部科学大臣に提出された。その後、この報告書は、平成27年4月14日、文部科学大臣より中央教育審議会に諮問され、具体化に向け大きく前進することとなった。4. 新しい「専門職大学」 (仮称)の概要 有識者会議で整理され、中央教育審議会に諮問された「専門職大学(仮称)」の概要は次のようなものである。(1) 高等教育の多様化の必要性ア.多様な若者のニーズと産業界の人材需要への対応イ.企業における人材育成機能の縮小ウ.高等教育段階における専門職業人養成の現状エ.現行制度のみによる将来に向けた対応の限界オ.社会人の学び直し需要への対応カ.地方創成への対応キ.高等教育体系の多様化(2) 新たな高等教育機関の 基本的な方向性 新たな高等教育機関を大学体系に位置付ける方向(学校教育法上の短期大学の規定と同様の位置付け)で制度設計

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