TIST112隠し
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3新年度スタート特集年度スタート特集まえがき 「平成27年」は、昭和の年号に換算すると「昭和90年」に当る。TISTが設立されたのが、昭和62年であったので、今年は「TIST誕生28年」ということが出来る。このことは同時に、2年後には「創立30周年」を迎えることを意味している。 一方、現在の日本は、政治・経済・文化の面で大きな「曲がり角」に来ていると言われ、我々を取り巻く環境が大きく変化すると予測されている。こうした現象は、教育面についてもいえることであり、総合専門学校を標榜するTISTとしても十分認識して進まなければならないことである。そこで、本稿では、TISTが直面している当面の「課題」と将来に向けた「発展方策」について述べることとする。1. 平成26年度より「職業 実践専門課程」が誕生 現在の専門学校制度が発足したのは、昭和51年のことであるが、それから「40年」という歳月が流れている。この間、わが国の産業構造は大きく変化し、国全体としての経済規模も飛躍的に拡大している。専門学校制度が発足してから10年程が経った昭和60年頃、「情報化社会の到来」という言葉が盛んに使われた。コンピュータが小型化し、社会に広く普及し始めたのである。その結果、情報処理分野での人材が求められ、その養成に専門学校が大きな役割を担うこととなった。これにより、専門学校への評価は高まり、高等学校卒業後の進学先として、広く認知されることとなったのである。 そして、専門学校への入学者数も平成の時代に入ると大幅に増加し、短期大学への入学者数を上廻るようになる。この傾向は他の産業分野にも波及し、専門学校が産業界全般への人材供給源として注目され始める。特に「建築土木」や「自動車整備」「医療看護」「幼児保育」などの分野では資格の取得の場としても、その評価は高まりを見せることとなる。 こうした動きに対し、学校教育制度そのものを見直すべきとの声が出され、文部科学省を始めとする国の各機関では、様々な見直しがなされるようになる。具体的には、大学や短期大学との「単位互換」(相互乗り入れ)や4年制専門学校卒業生に対する「大学院入学資格の授与」などである。これと並行して、専門学校卒業後の実社会での受け入れ体制も改善されるようになる。人事院では、「2年制の専門学校卒業生に対しては短期大学に準じた扱いとする」と改められ、民間企業にあっても時を経るに従い広く門戸が開かれるようになるのである。 この背景には、イギリスなど欧米諸国における教育改革の動きなども反映されたと言われる。イギリスでは、1980年代には「イギリス病」と言われるほどに経済が低迷した。これを解決したのが、〝鉄の女〞と言われたサッチャー首相であった。この時、サッチャー首相が最初に手掛けたのが、「教育改革」であった。階級意識が強いイギリス社会の中で、大学より低い位置づけがされていた専門学校を一挙に「大学へと昇格」させ、卒業生の意識向上を図ったのである。その結果、イギリス経済は一気に活性化し、「イギリス病」からの脱却に成功した。 日本でも、こうした成功例を参考にし、バブル経済崩壊後の経済回復策として「教育制度の見直し」が検討されたのである。しかしながら、大幅な見直しは「先送り」されてきた。新しい学校教育制度の発足については、様々な事情により具体化には至らなかった。その最大の足枷となったのが、既得権を持つ大学協会や短期大学協会であったと言われる。2. 「TIST」「N-TAC」 としての取り組み 一般的に、中学校や高等学校までの学校を「中等教育機関」と称え、高等学校卒業後に進学する学校は「高等教育機関」と呼ばれる。この高等教育機関には、「大学」「短期大学」「高等専門学校」「専門学校」などが位置付けられているが、その実体は実に様々なのである。この中の「専門学校」の多くは学校法人立によるもので、その数は全国で「3100校」を越すといわれ、その経営は過当競争の中平成27年度の課題-実践的職業教育機関を目指して-学校法人筑波研究学園 理事長 西谷隆義

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