TIST111
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4卒業特集業特集動が求められます。他の人々のいうことに安易に同調し、無責任な行動をとることは許されません。周囲の人々の意見に対して偏見なしに耳を傾け、それに対する自分自身の考えをしっかり持つことが大切です。私は、皆さんが自分の頭と心で考えて行動することができる自立した社会人として成長することを願っています。国際的な視野で ものを考える ここ数年、本校TISTの卒業生が毎年4、5名、就職先企業の移転や海外進出にともなってアジア各地や周辺諸国に派遣されています。これは経済活動のグローバル化が加速する中で、国産技術の海外移転や国内関連産業の国際化が進み、日本の産業構造、社会構造が大きな転換期にあるといわれていることの一つの証左でもあります。国内メーカーの電気製品が海外で生産されることは珍しいことではありませんし、国産車の部品の多くが外国から輸入されたものであることからも、急速に進むグローバリゼーションを実感することができます。このことは、これから日本のさまざまな分野で活躍する若い人にとって、国際的な視野に立って物事を考え、社会の変化や技術の進歩に的確に対応していくことがますます大切になっているということを示しています。 国際的な視野で考えるという言葉を、文字通りに外国との関係を重視して考えるという意味でいっているのではありません。もちろんそれもありますが、もっと広い意味でとらえて、これからは周囲の人々との関係において自分自身を考えることが重要になるということです。そのためには、人と人とのコミュニケーションを大切にし、周りの人々の考えをよく聞いて、物事を自分中心ではなく客観的に理解することが必要です。私は、皆さんがより広い視野で考え、しっかりした自分自身の意見を持ち、さまざまな問題を抱える実社会でたくましく生きていって欲しいと思います。人間性の乏しいネット社会 2年前、私は皆さんが本校に入学した際に、TISTは総合専門学校である。本校では医療や幼児教育、建築産業、自動車整備や行政などなど、さまざまな専門分野で働くことを目指す学生が学んでおり、その多様性が本校の優れた特徴の一つであって、皆さんがここで学ぶということは、自分とは異なる専門技術や目的意識を持つ人々と触れ合うチャンスを得たということであるから、自分と違う目標や理想を持つ同年代の人と交流して欲しい、それによって物事に対する視野を広げて深く考えるという社会人として重要なことの一つを身につけて欲しいとお願いしました。 私がそうお願いしたのは、インターネットの普及がもたらしたネット社会が生身の人間が欠落した仮想空間を作り出し、それによって私たちが本来持つべき豊かな人間性が失われていく恐れがある。ネット社会が拡大する今だからこそ、仮想空間ではない実空間での人と人との触れ合いが大切であると思ったからです。人と人とが直接会い、言葉を交わすことによって初めて、自分とは違う意見を持つ人を理解し、異なる立場の人の存在を容認することが可能です。 別の言い方をすれば、今日のように情報技術の進展した社会でこそ人と人とのコミュニケーションが大切であり、それを実現するためには、匿名性に身を隠すことができる手段ではなく、生身の人間同士が直接向き合い理解し合うことが重要だと思うのです。これらから実社会で活躍する若い人には、周囲の人々を理解し一緒になって物事を考えていく力がこれまで以上に求められているといっていいでしょう。実り多い有意義な人生を この点に関して、私はTISTを卒業される皆さんに対して少しだけ自信を持っています。さまざまな職業分野で活躍することをめざす若者が集まった本校で学んだ皆さんは、在学中に知らず知らずのうちにコミュニケーション能力を高め、周囲の人々と交流し話し合う力を培ってきたと思っています。昨年十一月に行われた輝峰際での皆さんの活動や先般の卒業研究発表を見ても、私は、そのことを再確認することができました。私は、本校在学中に人間として大きく成長した皆さんを、自信を持って実社会へ送り出すことができます。どうかこれからの人生において困難な局面に出会ったときは、自分と異なる生き方や考えかたを率直に受け止めて現実を直視し、周囲の人々と一緒になって問題を解決して欲しい、目標を達成する努力を忘れないでただきたい。 本校TISTの卒業生の一人一人が、これからも心身ともに健康で、実り多い有意義な人生を送ることを願ってやみません。

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