TIST109
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4特 集 集と認定されたのだから、大きな変化がなくて当然である。 ただ、以前と較べて学校内の雰囲気がほんの少しだけピリッとしたように感じることがある。教職員の意識がちょっとだけ変化したせいかもしれない。職業実践専門課程の運用では、教育活動を評価・検証して情報公開するとともに、教育の質の確保・向上を図ることが求められ、それに対応する教員の資質向上が必要とされている。このことが意識の変化に繋がっているのかも知れない。ただ、教育活動の評価、情報公開は、大学では法人化する以前から行われていたし、小中高等学校では平成19年度から行われている。職業実践専門課程となることで、それぞれの学科が一般的な学校のそれと同じように運用され、その役割を果たしていくことになったということである。 一方、認定を受けたことを機に企業実習枠を拡充した学科もある。ものつくり学科では、県南地域を拠点とする茨城県研究開発型企業交流会(会長=辻信行 ツジ電子(株)社長)の協力を得て、新たな企業実習プログラムをスタートさせた。また、医療情報学科でも企業実習について見直しが行われている。これまでに得られた成果 得られた一番の成果は、新たに設置された学校関係者評価委員会および教育課程編成委員会での議論を通して、本校TISTの教育体制全体を見直す機会を得たことである。 各学科がこれまでの教育課程、企業実習を「職業実践専門課程としての学科」のなかで位置づけ、将来目指すべき方向を検討することに繋がった。職業実践専門課程の申請から認定に到るまでのさまざまな作業を通して、教育目標やカリキュラムの内容を見直し再構築することができただけでなく、平成27年度からものつくり学科に電子機械システムコース(3年課程)、幼児保育学科に幼児スポーツコース(同)を新設する計画がでてきたことはその成果の一つである。 前項で、4月以降TISTの「雰囲気がほんの少しだけピリッとした」と述べたが、これも成果といえるかもしれない。職業実践専門課程という枠組みが与えられたことによって各学科の教育活動の主軸が明確になり、教職員の前向きな意識が引き出されたのだと思う。これがTISTの教育活動の成果として具体的な形で現れるのはむしろこれからである。「職業実践専門課程」を めぐる動き 4月に職業実践専門課程がスタートしたことを受けて、いくつかの新しい動きがあった。一つは、職業実践専門課程が厚生労働省が実施する非正規社員や若者のキャリア支援を行う教育訓練給付制度の対象となったことである。この法改正によって、キャリアアップを目指す人が厚労省から給付金を得て資格取得のために専門学校に入学し、認定学科で学ぶことができるようになった。専門学校の「学び直しの場」としての間口が大きく拡がったことになる。今後、他省庁でもそれぞれが管轄する人材育成プログラムの活用の場として、対応する専門学校の認定学科を選定することが考えられる。 一方、先に述べた協力者会議では、認定を受けた職業実践専門課程の検証に関する議論も行われている。協力者会議では、昨年7月に職業実践専門課程の創設を提言する前から、学校評価に関しては多くの時間を割いて議論されており、今後、「先導的試行」を評価・検証して職業実践専門課程の発展していくべき方向についてさまざまな指針が示されることになるだろう。おわりに はじめに述べたように、第2次安倍内閣発足後、教育改革が「スピード感をもって」進められている。第1次内閣で首相の私的諮問機関としてつくられた教育再生会議は、平成25年1月に教育再生実行会議[*]と名称を変えて再スタートし、本年7月には第5次提言「今後の学制等のあり方について」が出された。この中では、職業教育の充実・強化のために、質の高い実践的な職業教育を行う高等教育機関の制度化が提案されている。企業等と密接に連携して実践的な職業教育を行う専門学校の学科、すなわち職業実践専門課程のこれからの進化の方向も示されている。ここで述べられている高等教育機関については、その具体的内容が今後明らかになってくると予想される。 TISTとしては、前回の学校関係者評価委員会で出された宿題、①4年制大学が専門学校化していく中で教育課程にどう特徴を出していくか、②大学全入時代における専門学校での人材育成をどう位置づけていくかなどと一緒に考えながら、遅滞なく情報をキャッチして行政のスピードに的確に対応できるよう努力をしていくことが重要である。[*]http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/

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