TIST109
3/32

3特 集 集はじめに 平成24年12月に第2次安倍内閣が発足して以来、最重要政策課題の一つと位置づけられている教育改革に関する検討が急ピッチで進んでいる。職業教育に関しても、文部科学省生涯学習局に設けられた「専門学校の質の保証・向上に関する調査協力者会議(協力者会議)」で、「職業実践的な教育に特化した枠組み」いわゆる新学校種の創設に関して議論され、昨年5月に新学校種の先導的試行として、平成26年度から「職業実践専門課程」を創設する提言が出された。本校TISTでは、ものつくり学科、自動車工学科、建築環境学科、経営情報学科、医療情報学科、幼児保育学科の6学科全てがこの認定を受け、本年4月からその運用が始まっている。 以下では、TISTがこれまで職業実践専門課程の認定に向けて行ってきた対応を振り返るとともに、その運用によってこれまで得られた成果、今後の取り組みなどについて述べることにする。「職業実践専門課程」 創設の目的 協力者会議の提言の骨子は、企業・会社などと連携して職業教育を行っている専門学校の個別の学科を職業実践専門課程と認定し、専門学校における実践的な職業教育水準の維持・向上を図るというものである。認定の対象となる学科には、企業・業界団体等と密接に連携した教育課程の編成、演習・実験、教員研修、学校評価の実施などが求められる。また、情報を開示して職業教育の質の保証・向上に組織的に取り組んでいることも必要である。 企業・会社と連携して行う職業教育は、TISTが設立の趣旨として掲げた「産学協同」の教育方針そのものであり、TISTの全ての学科で何らかの形で企業等との連携授業や現場実習、就業体験が行われている。また、TISTは公共性を重視した学校運営を行い、情報公開に関しても積極的に取り組んでおり、職業実践専門課程の制度はTISTの実学教育が目指す方向とも一致している。このため、協力者会議の報告内容が明らかになってすぐ、TISTでは新しい制度への申請に向けて積極的に対応することになった。「職業実践専門課程」の申請 申請に際し、TISTでは企業等が参加して教育課程を編成する「教育課程編成委員会」と、教育活動を評価・検証する「学校関係者評価委員会」を新たに設置した。TISTがお願いした両委員会の委員の方々は、それぞれ大変お忙しいにもかかわらず昨年11月下旬および今年1〜2月に開催された両委員会にご出席してくださり、席上、皆様からTISTの教育活動について忌憚のないご意見を伺うことが出来た。 各学科では両委員会での議論をふまえて平成26年度の教育課程を編成し、それを元に事務局が各学科別に申請書類を取りまとめて申請窓口である県の総務部私学振興室に提出した。委員会開催後数日間で全ての申請書類を作成する極めてタイトな作業であった。今回の申請では専門学校の事務対応能力も認定要件の一つとして試されたのかもしれない。 平成26年3月31日、TISTから申請した全6学科が認定をうけた。これにより、平成26年度からTISTの全ての学科が職業実践専門課程として運用されることになった。「職業実践専門課程」が スタートして 本年4月から職業実践専門課程として運用されていても、それぞれの学科の教育活動に大きな変化はない。ほとんどの学科では、カリキュラムの編成に際して、授業科目や授業時間数、企業実習の日数が資格取得に必要な単位数に合わせて決められているから、認定を受けてもカリキュラムを変更する必要も余地もほとんどなく、ほぼこれまで通りである。これまでの教育活動の実積が一定の水準に達している学科が職業実践専門課程「職業実践専門課程」スタート4ヶ月間を振り返って学校長 柿崎明人

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です