▲ 卒業研究発表会の様子
卒業設計は、2年間で学んだ建築・土木の知識・技術など学習成果の集大成として卒業設計を位置づけされます。グループを編成しメンバーと協力しながら、設計し設計図書・模型等の制作、そして発表まで実施します。
2007年度の卒業生の卒業研究事例をご紹介します。( ) 内は出身校です。
漁港としての機能は、すべて失われている銚子第一漁港に街の中心、「きっかけの場所」として市民が街に興味や関心を持つ “Place of Signal”を提案します。
銚子第一漁港は、JR銚子駅から徒歩約10分の場所にあり、利根川の河口付近に位置しています。古くから沖合漁船の拠点として利用され、かつては産業の中心だった場所でした。しかし、現在は漁船のたまり場となり、漁港としての機能は、すべて失われています。銚子の新たな始まりとして、銚子第一漁港を敷地に選定しました。
1点目は“PoS”の流動的な形態です。船の形を原型とし、港の岸壁ラインを利用したグリットの上に配置しました。そして、曲線で1つにまとめることで、流動的な形態としました。この形態は街の隅々まで賑わいを浸透させるという意味も込められています。
2点目は、敷地・建物全体を覆うデッキです。屋根のデッキは成長する甲板という意味の“Grow deck”としました。覆うように広がり、生き物のような流動性を持たせ、興味や関心とともに起きた「賑わい」が、デッキの成長にともない、街全体を包もうとする様子を表現しました。横からもその様子がわかるように、3次曲面を使い、流れる波のような形を表現しました。
3点目が、敷地全体の計画です。街の人々が気軽に立ち寄れるように、前面道路を歩行者専用のデッキとしました。導く甲板という意味の“Steer deck”としたこのデッキは、“PoS”や街へと人々を導く「道しるべ」として計画しました。また、祭りの時にはデッキを中心に屋台が立ち並び、“PoS”と街が一体となります。
4点目は“PoS”の成長についてです。“PoS”は“Grow deck”という成長するデッキに覆われていますがただ成長するだけでなく、賑わいとともに成長します。その賑わいを成長させる空間として“Grow Space”を、設けました。成長する空間という意味があり、新たな用途の追加によって、人々の交流が生まれ、時代の流れに伴い、人々の賑わいが広がっていきます。5年後、10年後の銚子が賑わい続けてほしいと思い、設けました。
私達は、“Place of Signal” 新たな街のきっかけとなり、街に賑わいが戻ることを期待しています。そして、これからは、人々の賑わいがたえない街として、更なる発展を遂げてほしいと思い、“Place of Signal”を提案します。
▲ Place of Signal 新たな始まり~銚子~
都会のある場所をケーススタディーとして、周辺住民が気軽に歩いていくことができるオアシス的な場所“Hill Side~緑の残る場所~”を計画しました。この“Hill Side”は市民のための9棟の低層建築群とその周囲を緑で囲む広場群で構成されています。
この敷地は斜面で東京都目黒区にある富士見坂に隣接し、多くの樹木が生い茂り、都心としては貴重な緑地になっています。斜面の北側には、槇文彦氏設計の代官山ヒルサイドテラス・デンマーク大使館等もあり、その周辺は独特の洗練された雰囲気を持っています。
東京はかつて坂の街と呼ばれ300余りの坂が存在しています。かつて名所であった坂や階段は自動車優先とユニバーサルデザインの中で徐々に姿を消しつつあります。敷地周辺の中目黒と代官山とでは約20mの高低差があり、坂に接した斜面をタイル状の広場とコンパクトな建物群が分散配置されるようにし、代官山ヒルサイドテラスの交差点から、目黒川近くまで、緑と都市的な広場が連続的に広がるように計画しました。そしてこの計画によって、代官山と中目黒二つの雰囲気の違った街がつながります。
都市は人が集まる場所です。しかし、都市では快適に憩える場というのが少なく、無料でとなると「公園」くらいしかありません。また、その公園も、また行きたいと思える所は少ないです。このヒルサイドにはギャラリー・シアターなど多様な建物群が用意されています。多様な要望に応じて、選択の豊富さは必要であると考えました。
私達は配置計画をするにあたり、敷地全体に斜面の勾配に合わせた曲線のグリッドを設定しました。曲線グリッドを外壁ラインの基調とし、建物のスカイラインも曲線グリッドに合わせ自然の中に溶け込むようなにします。また、低層9棟の建物群は小規模分散配置とすることで、親しみを持たせ、緑の中に配置します。代官山側のファサードとして、ギャラリーがあり、その南側に、シアター・レストランと続いています。そして、敷地の真ん中にビュー・ライブラリー・コンサートホールがあり、ビューは、この土地のランドマークとなっています。中目黒駅側に、ビジュアルライブラリー・ジムナトリウム・コミュニティーとなっています。
広場の計画では、隣接する建物の用途に合わせた広場を計画します。「賑やかな広場」「静かな広場」「芝の広場」など様々な特徴を持つ広場が用意されています。緑地の計画では、豊かな緑や林の中に建物群や広場があり、「落葉樹の林」「常緑樹の林」「紅葉の林」などを計画します。
私たちは、あらゆる種類の交流・交換こそが都市の本来的な機能であると考え、それを計画しました。都会で市民が多様な交流が行える場として、オアシス的な場“Hill Side”を提案します。
▲ HILL SIDE 緑の残る場所